北陸には数多くの伝統工芸が伝わり、国が認めた伝統工芸は23※を数えます。そのいずれもが長い歴史を持ちながら、現代に至るまで確かな技術が脈々と伝えられています。
※「伝統的工芸品産業の振興に関する法律」に基づき経済産業省が認定した伝統工芸、石川10、富山6、福井7
高岡漆器 | 漆器 |
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井波彫刻 | 木工品 |
高岡銅器 | 金工品 |
越中和紙 | 和紙 |
庄川挽物木地 | 工芸用具・材料 |
越中福岡の菅笠 | その他の工芸品 |
牛首紬 | 織物 |
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加賀友禅 | 染色品 |
加賀繡 | その他繊維製品 |
九谷焼 | 陶磁器 |
輪島塗、 山中漆器、 金沢漆器 | 漆器 |
金沢仏壇、 七尾仏壇 | 仏壇・仏具 |
金沢箔 | 工芸用具・材料 |
越前漆器 | 漆器 |
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越前和紙 | 和紙 |
越前打刃物 | 金工品 |
越前焼 | 陶磁器 |
越前箪笥 | 木工品 |
若狭塗 | 漆器 |
若狭めのう細工 | 貴石細工 |
富山では国認定6、県認定5の伝統工芸が受け継がれています。周囲を立山連峰に囲まれていることから良質の木材が容易に入手でき、木を活用した工芸が盛んで、井波彫刻がその代表格。彫刻のまちと呼ばれる井波は2018年に「日本遺産」※に認定されています。
また高岡は加賀藩前田家二代・利長により開かれた当時から工芸のまちとして整備され、今もなおその伝統がしっかり受け継がれており、こちらも2018年「日本遺産」に認定されました。
高岡漆器、井波彫刻、高岡銅器、越中和紙などは「富山県推奨とやまブランド」に認定されており、その魅力を広く全国へ発信しています。
※地域の歴史的魅力や特色を通じて我が国の文化・伝統を語るストーリーを「日本遺産(Japan Heritage)」として文化庁が認定。2015年からスタートし、2021年2月現在104件が認定されています
石川は工芸王国と称されるほど伝統工芸が盛んで、36の工芸があります。とりわけ国指定の10の伝統工芸は生産量も豊富で知名度も技術力も高く、「人間国宝」(国指定重要無形文化財保持者)は、全国第1位※を誇る9名を輩出しています。
輪島塗や九谷焼などは全国的な知名度を誇るのに加え、金沢箔(金箔)は99%のシェアを誇っています。
また、2020年、東京国立近代美術館(通称「国立工芸館」)が、東京都から金沢市に移転し開館しました。
※人口100万人あたり、令和元年10月1日現在
福井には7品目の国指定伝統的工芸品、県が指定する郷土工芸品が29品目あります。
特に、丹南地域(鯖江市、越前市、越前町)は、国指定の5つの伝統的工芸品産地が半径10km圏内に集積する全国的にも稀な地域です。
1500年の歴史を持つ越前漆器、越前和紙、国内外のトップシェフに絶賛される越前打刃物、日本遺産「日本六古窯」の一つ越前焼、木工・金工・漆等伝統技術の集大成となる越前箪笥といった多様な工芸が一堂に会しています。
富山市ガラス工房
高岡を中心として金工が盛んな富山では、その技術力を生かし、デザイン性に優れた製品を数多く生み出しています。
柔らかい錫の特性を生かした「曲がる器」や、鋳物技術でつくられた真鍮製の風鈴、さらには金属の高い熱伝導性を活用したアイスクリーム専用スプーンなど、今の暮らしにそのまま取り入れられる製品が人気を集めています。
さらに富山市では、瓶などで製薬業と縁の深いガラスに注力し、「ガラスの街づくり」を掲げており美術館があるほか、工房もあり製造も盛んです。
金箔貼り体験
伝統工芸が数多い石川。時代のニーズに合わせた変革も数多くあります。
代表例を挙げると、輪島塗では漆を生かした、落ち着いたデザインな品を。九谷焼ではシールを活用して容易にオリジナルの器ができるキットを。金沢箔や加賀友禅では、その技術力を生かしながら、普段使いできるグッズを生み出しています。
また初心者でも気軽に製作体験ができるプログラムが用意されているほか、いしかわ生活工芸ミュージアムや各工芸の専門博物館などでその高い技術力を垣間見ることができます。
めがねミュージアム
福井の伝統工芸は、産地間の多彩な連携や、コラボレーションが盛んです。
漆器、和紙、打刃物、焼、箪笥の伝統的工芸品産地が連携して、後継者育成や販路開拓等を行う越前ものづくりの里プロジェクトや、眼鏡や繊維なども加わって開催されるファクトリーイベント「RENEW」など、若手職人が中心になって、産地の持続的発展に取り組んでいます。