北陸は、第一次産業の生産額は全国平均並み※ですが、三県いずれも豊富な水と肥沃な土地に恵まれており、おいしい食材に恵まれています。またあちこちに手付かずの豊かな自然が残り日本の原風景が楽しめます。
※ともに1.1%(北陸電力「北陸経済の概況」)
北陸三県での農業産出額は1,666億円で、その約6割近く※を米作が占めているように、米の一大産地となっています。三県いずれもブランド米の開発に取り組んでおり、2017年に石川県で「ひゃくまん穀」、2018年に福井県で「いちほまれ」、富山県で「富富富(ふふふ)」が誕生しました。
また米以外の農作物も、各地方自治体を中心に特産品のブランド化が図られており、石川県の「加賀野菜」をはじめ、福井県のトマト「越のルビー」、富山県の「呉羽梨」などが人気を集めています。
※農林水産省北陸農政局
「平成30年農業産出額及び生産農業所得(北陸)」より算出
農業生産額の構成比(2018年)
農林水産省北陸農政局
「平成30年農業産出額及び生産農業所得(北陸)」より算出
三県いずれも海に面していることから、水産業では海面漁業がメインで生産額が409億円です。そのうち98.1%が海面漁業で養殖はわずかなのが特徴(全国平均は養殖で34.1%)。
「底びき網漁」や「定置網漁」という漁法が主流で、多彩な魚介類が獲れます。特に冬のズワイガニ、ブリが有名で、観光資源ともなっています。
また三県それぞれ海流はもちろん湾の有無・大きさなども異なるため、漁獲される種類にも違いがあります。
※農林水産省「平成30年漁業産出額」
水産業生産額の構成比(2018年)
農林水産省「平成30年漁業産出額」より作成
三県とも森林面積の割合は全国平均~平均以上で森林資源が充実しています。一方で林業の担い手不足が深刻化していることから、各県ともに就業者のバックアップ体制を構築しています。福井県では担い手の育成のため、未経験者を含め林業への就業希望者を対象とした「ふくい林業カレッジ」を開講しているほか、石川県では就業者の作業効率化を高めるため、ドローンの活用などスマート林業の取り組み、富山県では就業者の経費を抑えるため森林組合が機械一括のリースを行うなど、各県が工夫した取り組みを進めています。
都道府県別森林率
林野庁|都道府県別森林率・人工林率(平成29年3月31日現在)
「富山湾の宝石」と賞される小さなエビで、漁業として成立するほど獲れるのは富山のみです。体長7cmほどの小さなエビで、特に唐揚げなどにして食べます。殻の香ばしさと身の甘さが楽しめます。刺身も美味。かき揚げなどにして食すこともあります。
特に「氷見」が産地として知られるぶり。大きさによって名を変える出世魚で、「つばいそ(こずくら)」「ふくらぎ」「がんど」「ぶり」と変化します。「ぶり」となるのは冬場で、出世魚ということもあり正月などハレの日には欠かせない食材。刺身や焼き物はもちろん、アラはぶり大根などに活用されます。
ゆでなくても名の通りの鮮やかな紅色が特徴。ズワイガニより深海に棲み、みずみずしい身が楽しめます。鮮度で味が大きく変化するため地元で多く食され、小学校の給食でまるごと1パイが供されることも。富山県では「高志(こし)の紅(アカ)ガニ」と銘打ち、ブランド化を進めています。
古くから金沢で生産されてきた野菜のうち、15品目を「加賀野菜」として認定して以降ブランド化が進み、全国的な人気を誇るように。加賀太きゅうり、加賀れんこん、源助だいこん、金時草などが代表格で、さつまいもは生産量も豊富で加工品が県外にも広く出回ります。
「白身のトロ」の異名をもつほど脂がたっぷりのった高級魚。焼き物にするとその脂が楽しめます。干物なら日持ちするためお土産にもでます。その名の通り口の奥が黒いのが特徴です。通年手に入りますが秋~冬がより脂がのります。
その名の通り、濃厚な甘みが楽しめるエビです。特に刺身でよく食され、正月などのめでたい席での定番です。新鮮なものなら、青い卵もおいしく珍重されます。古くなったものは、頭も殻もついたまま醤油でさっと煮る「具足煮(ぐそくに)」や味噌汁などに活用されます。
福井県で開発された「コシヒカリ」は日本全国で栽培され、おいしい米の代名詞となっています。2018年には、現代の消費者の嗜好にマッチする①絹のような白さと艶②粒感と粘りの最高の調和③口に広がる優しい甘さを持つ「いちほまれ」を開発し、全国での販売が始まりました。
福井で水揚げされた雄のズワイガニ。「越前がに」は、1922年以降、90年以上にわたり皇室へ献上されているほか、1989年には県の魚に指定されています。また、2015年に甲羅や爪の幅、重さなど品質を選別した「越前がに」が最上級のブランド「越前がに極(きわみ)」として認定され、2018年にはズワイガニとして全国で初めてGI保護制度に登録されています。作家の開高健など食通をうならせてきた「せいこがに」(雌のズワイガニ)とともに福井を代表する冬の味覚となっています。
果実が鮮やかな紅色であることから、福井県出身の芥川賞作家津村節子さんにより「越のルビー」と命名されました。大玉トマトとミニトマトの中間の大きさのミディトマトで、大玉トマトと比較すると糖度が高く酸味と甘みのバランスが良いのが特徴です。また、大玉トマトの約2倍のビタミンCやリコピンが含まれるなど健康にも良く、サラダやパスタをはじめとした料理、ドレッシングやジュースなどの加工品にも広く使われています。